コンサルティング物語

コンサルティング物語をテーマ別にグループ分けしてあります。
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中小企業のバランス・スコアカード(BSC)には「リーダーシップの視点」が必要

EME「コンサルティング物語」は、コンサルティングの現場を物語風にアレンジしたものです。
コンサルタントの役割を身近に感じて頂けるように、EMEの新しいチャレンジです。

 社員から選ばれる会社を創る −マネジメントをイベント化する−


その1

コンサルティング物語

〜社員に覇気がない〜

今回のコンサルティング物語は、EMEの関連会社である“100年企業創り合同会社”で支援した事例を取り上げます。
三大都市圏のベッドタウンH市に本社をおくC社は、創業90年(支援当時)の老舗菓子製造卸売業です。社長のE氏は5代目の経営者でした。創業当時から、家内工業で駄菓子を製造、店頭での販売をおこなってきました。4代目の現会長(E社長の父親)の時代に、自社工場を立ち上げるとともに、全国の菓子メーカーと提携して、古くて新しい駄菓子をコンセプトに、菓子の新商品開発、量産化を図り、卸売業に進出したのです。その結果、4代目が就任してから十数年で、C社は年商20億円の企業となったのでした。
しかし、年商20億円をピークに、売上高は停滞から減少傾向が続き、弊社とのご縁をいただいた時には、年商12億円まで縮小していました。E社長と弊社のご縁は、弊社の「成長する会社の経営者の当たり前〜潰れない会社創り〜」というセミナーに参加されたことがきっかけでした。その後、コンサルタントが訪問した時に、自分が抱えている悩みをお話しされたのです。

 

E社長: 会社は、今年で創業90年となります。私で、5代目です。当初は、自宅兼工場で駄菓子を製造し、店頭で販売していました。父である会長の時代に、自社工場を建て、全国の中小の菓子メーカーと提携して、卸売に参入しまた。自社商品に加え協力菓子メーカーのユニークな商品と会長の卓越した営業力により、十数年で我が社の年商は、20億円を超えるまでになりました。
コンサルA: すばらしい成果ですね。
E社長: ところが、会長は販路開拓やメーカーとの提携には卓越した営業力を発揮したものの、自社のオリジナル商品の開発には熱心ではありませんでした。その結果、あらたな得意先を開発しても、既存の得意先の要望に応えることができず、大口の得意先が離れていったのです。
コンサルB: それで、業績が厳しくなっていったということですか。
E社長: そうです。私が、2年前に経営を引き継いだとき、年商は14億円まで落ち込んでいました。私は、経営を引き継ぐ前から、なんとか経営を立て直したいと、外部の協力メーカーと一緒になって、商品開発に取り組みました。しかし、売上高の減少幅は小さくなったものの、売上高の減少は止まらず、今期の売上高予測は、12億円程度の見込みです。
コンサルA: E社長は、C社に入社される前、どのようなご経験をされてきたのですか。
E社長: 私は、小さい頃から、親父、当時の社長から、C社を継ぐのだと言われてきました。だから、高校生になると、何の問題意識もなく、C社でアルバイトをしていました。就職するときにも、C社に帰ってくることを前提に、大企業の仕組みを学ぶために、大手食品メーカーに入ったのです。
コンサルA: いつ、C社に帰ってこられたのですか。
E社長: ちょうど、10年前です。当時はまだ、売上高が、成長軌道だったので、会長から、貴重な戦力が入社をしてくれた、我が社も安泰だと、喜んでくれたことを覚えています。しかし、その後、成長軌道から停滞、衰退軌道に入ったのです。正直、自社のことだけを考えると、会長が製造を協力会社に委託するというビジネスモデルを構築してくれていたことは、会長に先見の明があったと感謝しています。一方、販売量が減ったことによって、協力会者との関係はギクシャクしているのも事実です。
コンサルB: 会長は、C社の建て直しをE社長に託されたということでしょうか。
E社長: かっこよく言うと、おっしゃられる通りですが、私に勝算があったわけではなく、後継者の責任感から引き継いだというのが本音です。ただ、経営者となって、自分の悩みは深まるばかりです。「経営を立て直すためには、脱皮と飛躍が必要」とは頭では分かっているものの、「ヒット商品が生まれなくなった」「社員の退職が続いている」「社員に覇気がない」「協力会社とはギクシャクしている」、一方で、自分には「会長のようなリーダーシップがない」等々 この現実をどのように変えていったら良いのか、少しでもヒントになるようなセミナーや講演会を求めていたのです。
コンサルA: 我々のセミナーを選んでいただき、ありがとうございます。
E社長: ○○から、御社のセミナー案内をいただいて、“潰れない会社創り”という言葉に惹かれたのです。まさに、「我が社のことではないか」という想いでした。さらに、セミナーの中で聴いた、“経営者は、社員から選ばれる会社を創ることが重要である”それは、“社員が仕事に生きがいを感じられる、社員がワクワクして仕事をする会社を創ることである”との言葉に、自分の中で電気が走りました。このことをアンケートに書かせてもらったのです。
コンサルA: 電気が走ったと言われましたが、具体的に、どのようなことに気づかれたのか、教えていただけませんか。
E社長: 我が社は、今まで、社員にあまり関心を持っていませんでした。元々、家内工業からスタートした駄菓子屋ですから、会長も、卸売業に進出するまでは、家族以外の人と仕事をする経験がなかったと思います。卸売業に進出してからも、協力会社と開発した商品を、会長が率先垂範して販売するというスタイルでしたから、社員を作業員程度でしか認識していなかったかも知れません。私は、会長のようなリーダーシップを発揮できません。一方で、私は大手食品メーカーで10年働いてきました。組織を知っています。セミナーを聞いて、“活き活きと働く社員と我が社を変革していきたい”と確信したのです。
コンサルB: 組織を知っていることと、活き活きと働く社員と我が社を変革していくことは、単純につながらないのではないですか。
E社長: 説明不足でした。うまく言えませんが、個人個人で努力するよりも、組織で対応した方が、何倍も価値を生むことを知っているという意味です。会長の後姿をみて、“私が商品を開発しなければならない”と独り相撲を取っていたのかもしれません。一方で、どのようにすれば、現状の“社員に覇気がない”状態から、理想とする“活き活きと働く社員と我が社を変革していく”状態に、社員の意識や会社の雰囲気を変えていけるのか、その道筋づくりに、御社の力をお借りしたいのです。
コンサルA: わかりました。今日のお話をお聞きして、社長の想いを、十分に受け止めさせていただきました。あらためて、支援プログラムをご提案します。ただ、支援プログラムをご提案するにあたって、一つ重要なプログラムをご認識願います。会社を変革する場面においては、過去の価値観や成功体験から、様々な軋轢が起こります。その時、E社長としての考えを示し、毅然とした態度をとっていただかなければなりません。そのためには、“活き活きと働く社員と我が社を変革していく”ことを、E社長の心の中で肝落していただく必要があります。そのために、支援プログラムの最初に、社長の本音を内観していただくプログラムを導入することをご了解願います。
E社長: 会長のリーダーシップスタイルと決別し、自分の経営者としての姿勢を明確にしなさい ということですね。私が最も悩んでいたことですから、自分自身で結論をだすように取り組みます。

このようにして、“活き活きと働く社員と我が社を変革していく”ことを目的とした“社員から選ばれる会社創り”プロジェクト(通称「社員主体」プロジェクト)の推進が決定されました。



その2

コンサルティング物語

〜経営者としての軸づくり訓練〜

社員主体プロジェクトの第一歩は、経営者の内観です。内観をしていただく理由は、私どもの苦い経験にあります。
当初、経営者から“社員から選ばれる企業”を創りたいと支援の依頼を受けた企業であっても、本音で、“社員とキチンと向き合うこと”ができない経営者は、“社員から選ばれる企業創り”の途中で、「○○のやり方は、我が社のスタイルに合わない」「◇◇の施策は、自分のキャラにあわない」等々といって、“社員から選ばれる企業創り”を中断してしまうのです。
従って、経営者に対して、本気で“社員から選ばれる企業”を創りたいのか、“社員から選ばれる企業”を創って何をしたいのか、自問自答していただきたいのです。

内観は、“経営者の軸づくり訓練”として、三泊四日でおこないます(オープンの訓練に参加される場合は四泊五日)。価値観を共有するために、経営幹部も一緒に参加していただく場合もあります(参加者については、企業規模、社歴、企業の成熟度等を勘案して、コンサルタントと経営者の打ち合わせにより決定します)。C社の場合は、社内で単独の訓練をおこない、参加者はE社長と役員2名 計3名となりました。

※内観:“自分自身の心の動き・状態を自分で観察すること”をいう。
※成熟度:企業の成熟度とは、“変革に向けた組織の姿勢・状態”をいう。

 

 “経営者の軸づくり訓練”においては、下記のテーマ(質問)に対して、自分自身と向き合ってもらいます。
 【テーマ例】(訓練においては、企業および経営者の状態により、最適な質問内容を構成します)
〇 ワクワクグラフ(自分史)を描いてください。
〇 あなた自身にとって、仕事とは何ですか。
〇 あなた自身にとって、C社とはどのような存在ですか。
〇 あなたが大切にしている価値観・考え方は何ですか。
〇 (あなたの)会社が大切にするべき価値観は何ですか。
〇 (あなたの)会社の歴史と現状を整理してください。
〇 あなたは、会社をどのような会社にしたいですか。
        :


参加メンバーは、一つ一つの質問に対する回答を整理して、コンサルタントと向き合い、問答が始まるのです。
一つの事例をご紹介します。


〇 会社が大切にするべき価値観について

コンサルA: E社長は、顧客に対する価値観について、“顧客の要望にはすべて応える”と記述されています。一方、社員に対する価値観においては、“社員を人財とみなして尊重する”と記述されています。顧客が無理難題を言ってきたとき、“顧客の要望にはすべて応える”ことと“社員を尊重する”ことは矛盾しませんか。
E社長: 無理難題を聞く顧客と、無理難題を断る顧客を決めます。
コンサルB: それでは、“顧客の要望にはすべて応える”にはならないのではないですか。
E社長: ・・・
コンサルB: もう一点、無理難題を聞く顧客と、無理難題を断る顧客の基準は何ですか。
E社長: 収益性と考えています。
コンサルB: 収益性が基準では、問題解決にならないのではないですか。収益性の高い顧客が増えると、無理難題を受けるという状態が、常態化してきませんか。その結果、残業が増えて、当初、収益性が高かった顧客も、収益性が落ちてくる このような経営状態を懸念します。
E社長: もっと深く考えないとダメですね。
コンサルA: 矛盾しない取り組みのヒントとして、このような考え方はできませんか。例えば、無理難題を断っても顧客からの注文がはいるような独自能力をつける。あるいは、無理難題をいってこられないような未然防止策を構築する。独自能力をつけることにしても、未然防止策を構築することにしても、社長一人ではできないわけですから、どのような取り組みをするのか、社員を巻き込んで、具体策を検討する場を創る。社員を巻き込む=社員を尊重することに結びつくと思うのですが、いかがですか。
E社長: “社員を尊重する”といっても、口先ばかりですね。会長には、“社員を大切にしない”と批判するのに、自分自身も一緒でした。Aさんの考え方を参考にして、“社員を尊重する”とはどういうことなのか、胆に落ちるまで考え方を整理してみます。

(以下略)


このようにして、「経営者の軸づくり訓練」が終了しました。終了後のE社長の晴れ晴れとした顔つきが印象的でした。
訓練終了後、早速、“社員から選ばれる会社づくり”プロジェクト(通称「社員主体」PT、今後は「社員主体」PTと表現します。)が発足しました。
メンバーは、E社長をはじめ、訓練に参加したK役員、L役員、社員からM氏、N氏、Oさん(女性)を選出しました。
次回は、プロジェクトのキックオフの場を通じて、E社長が訓練から何を学んだのか、どのような会社を創りたいと考えたのかを報告します。



その3

コンサルティング物語

〜社員重視の価値観を醸成する〜

E社長は、第一回「社員主体」PTの場で、訓練に参加したK役員、L役員とともに、メンバー(M氏、N氏、Oさん)に対して、「会社(経営者)の軸づくり訓練」で気づいたこと、3人で決意したことを話し始めました。
100年企業創り合同会社からは、「企業(経営者)の軸づくり訓練」を支援した、コンサルタントAとコンサルタントBが同席しました。

E社長: 皆さんも気づいていると思いますが、近年、会社の業績は、非常に厳しい状況にあります。
我が社の創業時は、家内工業で、駄菓子の製造販売をしていました。会長の時代に、自社工場を立ち上げるとともに、全国の菓子メーカーと提携して、古くて新しい駄菓子をコンセプトに、菓子の新商品開発、量産化を図り、卸売業に進出したのです。会長の先見性によって、我が社は大きく成長することができました。会長は、「戦略が正しければ会社は成長する」「顧客の要望に応えることが善である」との考え方で、販路を拡大してきたのです。しかし、年商20億円をピークに、販売が頭打ちとなり、私が、2年前、社長を引き継いだときには、年商14億円の菓子メーカーとなってしまいました。今期も業績は厳しく、売上高は、12億円程度と予測されます。私自身、会社を変革しなければならないとの危機感はあるものの、焦るばかりで、自分の方針を明確にすることができていませんでした。
このようなとき、セミナーで、「社員から選ばれる企業でなければ生き残っていけない」との提言を受け、社員に対する認識の希薄さを痛感したのです。その後、セミナー講師のコンサルタントから、詳しい話を聴き、「会社の軸をつくる訓練」に、K役員、L役員と一緒に参加したのです。
その訓練は、私にとって、「自分の至らなさに気づく時間」でした。特に、“会社の価値はだれが創っているのか”という質問に対して、すぐに、“社員のみなさん”と答えられなかった自分に気づかされたのです。一方、会社に対しても、自分に対しても、“過去を否定”するのではなく、“過去から新しい価値を積み上げる”という認識が重要ということも学びました。

(略)

 
E社長: 訓練においては、我が社をどのような会社にしたいのか、私だけでなく、K役員、L役員とも、真剣に話し合いました。いろいろな意見がでましたが、結局、「ああしたい」「こうなりたい」が、「経営陣が本気で“社員とともに創る将来像”なのか、“社員の幸せに結びつく”将来像なのか」を考える場となりました。話し合った結果、今後の会社の方向性を、「“古くて楽しい菓子創り”を商品開発のコンセプトとして、社員重視の考え方を背景に、社員とともに“新しいC社”を創っていく」、という同じ価値観軸を持てたと考えています。
K役員: 我が社の価値を創っているのが社員であり、協力メーカーであるということが、最初は、理解できませんでした。会長から、「戦略が正しければ会社は成長する」「顧客の要望に応えることが善である」と教えられてきたからです。そこには、社員を大切にする視点が抜けていました。
L役員: ただ、会長のやり方を否定するつもりはありません。ここまで、我が社を成長させてきたわけですから。会長の考え方を社員とともに創り出していくことが重要だと気づいたのです。
E社長: 今回、3人に集まってもらったのは、社員と一緒に、あらたな企業創りをしていきたいと考えているのだが、ここまで業績が低迷した中で、どのようにしたら、社員とともに新しいC社を構築していけるのか、一緒に考えてもらいたい、そして、我々の考え方を浸透させていくリーダーになってもらいたいと選抜させてもらったのです。
   
M氏: 社長の言われることは、我々社員にとって、非常にありがたいことです。しかし、業績が低迷して、多くの社員が退職した状態では、突然、社員を大切にしたい、社員重視といわれても、すぐに、社長の意識の変化を理解しようとはしないでしょう。私も、正直、社長のお考えを理解できていません。ですから、すぐに、社長の想うような会社にはならないと思います。
N氏: 我々が話し合う前に、まず、社長から“自分は考えを変えた”“これからこのようにする”と発信するべきではないのですか。
Oさん: 私は管理部門のリーダー、M氏は営業部門のリーダー、N氏は商品開発部門のリーダーです。あと、製造部門と物流部門のリーダーが必要なのではないですか。それに、役員3人とリーダー3人では、私たちは意見が言えません。
E社長: 君たちであれば、過去にとらわれない発想で意見を言ってもらえると考えたのだが。よろしい、製造部門と物流部門からも、メンバーを選抜しよう。
M氏: 社員とともに創るといわれても、我々も、社員が会社に対して、どのように考えているのか知っているわけではありません。自分の部門のことは、ある程度分かりますが、他部門の社員については、まるで分かっていません。
コンサルA: 少し、私たちも意見を言って良いですか。
E社長: お願いします。
コンサルA: 社員が会社に対して、どのような認識を持っているか調査するメニューとして、社員意識調査があります。社員意識調査は・・・

※社員意識調査(理念・ビジョンの浸透度と展開度の調査シート)については、「中小企業におけるワクワクする診断・支援メニュー」の中の「支援メニューの体系」を参照願います。

E社長: K役員、L役員 意識調査に関する、君たちの意見はどうか。
K役員: 今まで、そのような調査をしたことがないので、正直、怖いですね。
L役員: 私も、K役員と同じ気持ちです。しかし、社員の意識を知らなければ、我々が決意した社員重視の取り組みにならない、今は、勇気を持ってやりましょう。
E社長: Mさん、Nさん、Oさんの意見はどうか
M氏、N氏、O氏:ぜひ、お願いします
E社長: では、決まりです。Aさん、Bさん よろしくお願いします。

このようにして、C社の社員を対象に、社員意識調査を実施することになりました。意識調査の結果は、次回、ご報告します。


プロジェクト会議が終わって、E社長とコンサルタント2人で話し合った時のE社長のコメントです。


E社長: 社員の会社に対する意識を調べることは、私も正直怖いです。しかし、社員が本気になって、会社を良くしていこうと考えてもらうためには、まず、勇気を持って、社員の事実に向き合わなければなりません。先日の訓練で決めたことです。K役員もL役員も賛同してくれました。どのような結果であっても、3人で、キチンと受け止められそうです。
私のことよりも、会社が良くなることが優先です。

E社長の覚悟が伝わってきました。



その4

コンサルティング物語

社員意識調査(理念・ビジョンの浸透度と展開度の調査シート)の結果を要約すると、下記のような結果となりました。
※ 社員意識調査の内容については、
 https://www.100jp.co.jp/menu/index.html#menu01を参照願います。
※ 20問の意識調査の視点
 @企業理念・ビジョンの浸透  A社会的責任・社会貢献への認識
 B顧客ニーズへの対応  C競争優位・競争劣位への理解  D顧客満足度の把握
 Eクレームの再発防止  F独自能力への挑戦  G上司からの指導・支援
 H現場の意見の尊重  I部下のモチベーションアップ
 J成長に向けた仲間からの励まし・支援  K業務における他部門・協力会社からの支援
 L成長機会の提供  M社内における自己の存在感・ポジショニング認識
 N職場環境の改善  O公正な評価  P業務プロセスの改善・革新
 Q情報の共有化  R他者から学ぶ姿勢  S相互理解に対する上司の率先垂範


【要約】
1、C社の成熟度は、Cレベル(社員は変革には取り組むが、刺激を与え続けないと、変革が継続しない組織)と認識される。
2、調査結果から、E社長の評価と社員の評価との間に、大きな認識ギャップがあることが判明した(E社長は、「している」と認識しているが、社員には伝わっていない)。従って、E社長は、自分の行動を振り返り、コミュニケーションのあり方を見直す必要がある。
3、社員は、「成長機会の提供」「自己の存在感」を認識している。一方、「モチベーションアップ(褒められる・認められる)の場」「現場の意見の尊重」に対しては、非常に欠乏感がある。従って、社員は、仕事への忠誠心は高いが、会社への忠誠心が低い。
以下略

第二回「社員主体」PTの場が、社員意識調査の報告会の場となりました。今回のPTからPさん(製造)とQ氏(物流)が加わりました(PさんとQさんには、事前に、E社長からPTの趣旨、社員意識調査の趣旨の説明がおこなわれていました)。


コンサルA: 社員意識調査の報告を受けて、どのように感じられましたか。
E社長: 「戦略が正しければ会社は成長する」「顧客の要望に応えることが善である」といって、社員を大切にしてこなかったことが、はっきりと数字に表れてしまっている。私は、会長よりも、社員の意見を聴くようにしてきたつもりだった。それでも、社員には、伝わっていないと、頭では理解していたことが、このように数字で表れると、非常にショッキングな結果としか言いようがない。
K役員: まだまだ、足りないということを、真摯に反省するべきではないでしょうか。
E社長: (少し不機嫌そうに)それは、わかっている。
コンサルB: 会社の成熟度がCレベルという結果に対しては、どのように認識されますか。
L役員: おそらく、指摘されている通りの「組織の在り様」だと思います。E社長は、D会長の経営手法を見直し、新商品開発に力を入れているのですが、新商品を作っても、売り上げが思うようにあがらないと、販売促進を展開するよりも、あらたな商品づくりに目がいってしまう。営業の現場にすると、どこまで本気で売ったら良いのか迷ってしまう。
E社長: やっぱり、俺が悪いのか。
L役員: 一つの例を挙げただけです。D会長の時も、理由がわからない、朝令暮改が日常茶飯事だったではないですか。
コンサルA: ところで、調査結果からは、「社員は、仕事への忠誠心は高いが、会社への忠誠心が低い」と分析されるのですが、この結果は、現場の社員さんの認識として、どのように解釈したらよいのでしょうか。
N氏(営業): 私の認識を言っても良いですか。
コンサルA: ぜひ、現場の意見を聴かせてください。
N氏(営業): 我が社の社員は、全員駄菓子が好きなんです。お年寄りから子供まで、どんな人にも喜んでもらえる商品って、そうそうあるものではありません。幅広いお客様から「美味しい」とか「ありがとう」といってもらえるのが、我々のやりがいなのです。夢を売っている仕事なので、みんな仕事を楽しんでやっていると思います。
M氏(管理): E社長が言っていたように、D会長は、強力なリーダーシップのもと、戦略が一番、顧客が二番、社員は番外だったのです。だから、社員の意見を聴く前に、自分で動いてしまっていました。設備投資も例外ではありませんでした。過去は、E社長のリーダーシップで良かったと思いますが、いまからは、それではダメなのではないでしょうか。
Pさん(製造): 駄菓子とはいえ、お菓子作りは楽しいです。しかし、言われたことだけをやっているのは辛いです。今まで辞めていった社員の多くは、夢のある仕事とやらされ仕事とのギャップに悩んで辞めていったと思います。

(略)

コンサルA: 皆さんの意見を聴いていると、「社員一人ひとりの仕事に対する“やりがい”を会社の仕事に対する“やりがい”に変えていこう、という認識で集約できそうなのですがいかがですか。その結果、E社長が変革の方向性として掲げている、「“古くて楽しい菓子創り”を商品開発のコンセプトとして、社員重視の考え方を背景に、社員とともに“新しいC社”を創っていく」 ということができそうな気がするのですが、そう感じているのは私だけでしょうか。
K役員: ぜひ、個人の“やりがい”を会社の“やりがい”に変えられる、そのような会社に脱皮して、いい会社を作りたい。
Oさん(商品開発): E社長 質問があります。今回の意識調査の結果は、社員にフィードバックされるのでしょうか。
E社長: もちろん、フィードバックします。フィードバックの仕方については、コンサルタントと相談しますが、私の反省と会社を変えていく想いを込めて、フィードバックしたいと考えています。
Oさん(商品開発):そのように考えてもらえるのであれば、私も努力を惜しみません。
Q氏(物流):物流は、パート従業員の方が多いですが、パートさんも巻き込んで取り組んでいきます。

最初は、不機嫌だったE社長も、議論を重ねるうちに、落ち着きを取り戻し、素直に事実を認める姿勢に変わってきました。
社員へのフィードバックでは、今までに社員も見たことのない、素直な姿勢で、自分の反省と変革への想いを話されていました。まだまだ、会社の変革のスタートラインについたところですが、E社長と社員の間で、良いコミュニケーションが醸成される兆しが見えてきました。



コンサルティング物語

その5

〜社長が変わる、会社が変わるキックオフイベントを企画開催する〜

意識調査のフィードバックを終えたE社長は、さっそく「社員主体」PTのメンバーと、「社員一人ひとりの仕事に対する“やりがい”を、会社の仕事の“やりがい”」に変えていくための、具体的な活動について話し合いを始めました。


コンサルA: 意識調査のフィードバックにおいて、E社長は、「今まで、D会長も私も、C社の成長のために、自分の問題意識や危機感に追われるように、自分の得意分野の強化に取り組んできた。そのために、社員を大切する意識が弱く、結果、経営者と社員の認識ギャップが意識調査となって表れている。意識調査の結果は、ハンマーで頭をたたかれた衝撃があった。私は、この結果を真摯に受け止め、自分自身が変わらなければならないと決意している。そして、これからは、社員の方々と一致団結して、新しいC社を創っていきたい。」とおっしゃいました。非常に、想いの籠った、良い発表でした。私も胸が熱くなりました。
 一方、社員の立場から考えると、社長の想い・決意は分かったけれども、“何がどのように変わるのか” “本当に、変わるのか良くわからない”という気持ちが本音でしょう。
E社長: 「早急に具体的な取り組みを明確にするべき」と言いたいのですね
コンサルA:

いえ、「変革のベクトルを合わせることが重要だ」と言いたいのです。コーポレート・スローガンという言葉を聞いたことがありますか?

全員: いえ、知りません。
コンサルA: コーポレート・スローガンは、社会に対しては、「どのような価値を提供する会社であるか」を明らかにする標語ですが、社内に対しては、「その価値創造に向けて、社員全員の活動のベクトルを合わせる」標語なのです。皆さんがよく聞くコーポレート・スローガンとしては、アサヒビールの「すべては、お客様の“うまい”のために」があります。アサヒビールは、社会に対して、「“うまい”ビールを提供する」と宣言すると同時に、社内に対しては、「“うまい”ビールづくり」に、全社員の活動ベクトルを合わせているのです。
コンサルB: まず、我々は、どのような価値を提供する会社になりたいか、コーポレート・スローガンを整理しましょう。E社長・K役員・L役員は、「会社の軸創り訓練」での議論を思い出して、プロジェクトメンバーに議論の内容を披露してもらえますか。

(中略)

 
K役員: やはり、我々が提供する価値は、商品開発コンセプトになっている“古くて楽しい菓子創り”ではないですか。
E社長: 流石、Kさん。いいこと言いますね。私も、“古くて楽しい菓子創り”を大切にしていきたい。そうすれば、お年寄りから子供まで、古い人から新しい人(チョット失礼かな)まで、楽しめる菓子を提供していきたい。
コンサルA: よい着眼点です。会社の軸創り訓練が活きていますね。私のアドバイスとして、もう一言、付け加えても良いですか。アサヒビールのコーポレート・スローガンをパクッて、“すべては、古くて楽しい菓子創りのために”としては、いかがでしょうか。“すべて”という言葉に、活動のベクトルをあわせる想いを込めるのです。
Q氏(物流): しかし、物流の仕事と“古くて楽しい菓子創り”が結び付くのでしょうか。
M氏(管理): 私も、管理の仕事と“古くて楽しい菓子創り”が結び付くのか、悩んでしまいます。
コンサルB: Qさん、Mさん とっても良い意見です。全部門が納得できなければ、コーポレート・スローガンにはなりません。みんなで、物流あるいは管理の仕事と“古くて楽しい菓子創り”を結び付けてあげてください。
E社長: 今思い出したのだけれど、昔、私のおじいちゃんやおばあちゃんが、作業場で創った駄菓子を、大切に店頭までもって来ていました。昔は、パッケージなどに入っていなかったから、チョット乱暴に扱うと、形が崩れてしまって、売り物にならなくなるのです。家の手伝いをして、よく怒られました。その気持ちが、今の物流にも大切なのではないですか。
L役員: うまく言えないのですが、“[古くて楽しい菓子]創り”と“[古くて楽しい]菓子創り”という二つのとらえ方ができるのではないですか。今、E社長が言われたのは、“[古くて楽しい]菓子創り”だと思うのです。菓子創りをして、お客様の口に入るまでの活動そのものに、[古くて楽しい]価値があるように想うのです。
E社長: それは、素晴らしい意見だ。
M氏(管理) : 我々の立場で言うと、“[古くて楽しい]菓子創り”を支援する活動そのものに、[古くて楽しい]価値があるということでしょうか。
Oさん(商品開発): それだけではないと思います。社員一人ひとりが、“[古くて楽しい菓子]創り”の当事者になることも可能ではないでしょうか。
N氏(営業)             : それは、社員から商品開発のアイデアを募るということですか。
Oさん(商品開発): そうです。そうすれば、社員全員が、“[古くて楽しい菓子]創り”の当事者になれます。
Pさん(製造): 確かに、みんな“菓子創り”が好きだから、何かしらアイデアを持っているはずです。特に、製造は女性が多いので期待できます。
コンサルB: 全員が、“[古くて楽しい菓子]創り”の主役になるということですね。社員一人ひとりが、会社の主役になれると、組織は活性化します。

(中略)

 
コンサルA: もう一点、全社員の活動のベクトルを合わせるためには、チームワークが重要です。チームワークを高める良いアイデアはありませんか。
N氏(営業): 社内でレクレーション大会をやってはどうだろうか。ソフトボールとかボーリングとか。
Pさん(製造): レクレーションとなると、Nさんの出番だね(笑)。ただ、スポーツをいきなりは、年齢差や体力差があるから、厳しいかもしれない。あと、筋肉痛で次の日、休まれても困るし(笑)。
Q氏(物流): やっぱり、宴会しかないのではないですか。コミュニケーションも良くなります。
Pさん(製造): 今度は、Qさん、得意分野をよく心得ていらっしゃる(笑)
M氏(管理): だったら、社員旅行はどうでしょうか。最近、観光ではなく、体験型の社員旅行が復活している話もよく聞きます。
Q氏(物流): でも、泊りがけは・・・女性のパートを多く抱えている部署としては、チョット抵抗があります。
M氏(管理): 泊りがけではなく、日帰りでも良いのではないですか。
(中略)  
コンサルA: いろいろな、すばらしい意見がでました。今までの議論を整理するために、弊社のクライアントさんが実際におこなっている事例のお話をしますので、参考にしてもらえますか。
 その企業さんは、地方の文具メーカーです。その文具メーカーは、地場の素材を活用して、商品開発をしてきました。その会社の方針発表会は、全員参加が原則で、土曜日の午後から、半日おこなわれます。その内容は、次のようなカリキュラムになっています。
 午後@ ゲーム大会or運動会
 午後A ワークショップ(コミュニケーションを良くするワークショップ等)
 午後B 方針発表会および優秀社員の表彰
 夜   宴会(部門毎に、出し物を発表)
 このイベントを、社員が手作りで企画しています。まず、「E社長が変わる」「会社を変える」ことを宣言するために、新しいC社を創る「“古くて楽しい菓子創り”キックオフイベント」を開催されてはいかがでしょうか。
E社長: それは、面白い。しかし、この企業さんのような立派なイベントはできないにしても、キックオフイベントを誰が企画するんだ?
コンサルB: 当然、この「社員主体」PTのメンバー、特に、社員のメンバーしかないでしょう。
M氏(管理): だったら、リーダーは営業のNさんしかいない
N氏(営業): いえ、我が社は、製造部を中心に、女性の比率が高いので、商品開発のOさんにお願いしたいです。
(中略)  
コンサルA: もう一点、“社員から選ばれる会社づくりプロジェクト(「社員主体」PT)”の名称は、今までの議論からすると、違和感がありませんか?
K役員: 私も、何か違うような気がする。
E社長: 確かに、社員と一緒に、もっとワクワクするような名前に変えたい
コンサルA: それでは、キックオフイベントを企画する社員のPTメンバーに、プロジェクトの名称も一緒に考えてもらいましょう。

このようにして、キックオフイベントに向けた社員のPTメンバーによる活動が始まりました。結局、話し合いの結果、PTリーダーは商品開発のOさん、サブリーダーとして営業のNさんに決まりました。そして、“社員から選ばれる会社づくりプロジェクト”は、“古くて楽しいプロジェクト(通称「フルタノ」PT)”に名称変更したのです。
次回は、キックオフイベントを経て、マネジメントのイベント化を定着させるための取り組みについて、ご報告します。


コンサルティング物語

その6

〜 キックオフイベントを開催する 〜

前回の「フルタノ」PTから1ヶ月後、「キックオフイベント」PTメンバーから、社長に対して、キックオフイベントのプレゼンがおこなわれました。

日時:2月〇〇日(土) 13:00〜20:30
場所:△△ホテル(案)
テーマ:「すべては“古くて楽しい菓子創り”のために」の理解と浸透を図る
参加:(特別な理由がない限り)全員参加
カリキュラム:
 @“古くて楽しい”ゲーム(チーム対抗)
   例:けん玉、輪投げ、フラフープ、旗揚げゲーム・・・
 A“古くて楽しい”勉強会&試食会
   E社長に会社の歴史を語ってもらう
   創業から現在までの代表的なC社の菓子を試食する
 B来期に向けた社長の“古くて楽しい”方針発表
 C“古くて楽しい”懇親会
予算:E社長から、概算でいただいていた金額の範囲で、収められる予定です。
ただ、一点、試食会の原価分が、オーバーする可能性があります。
E社長へのお願い:
 ◎新年の祝辞で、コーポレート・スローガンとコーポレート・スローガンに寄せる想いや従業員に対する期待を
  伝えていただく、また、キックオフイベントの内容も発表していただくこと。
 ◎キックオフイベントの日程は、可能な限り早く、発表していただくこと。
 ◎“古くて楽しい”ゲームの審査員長になっていただくこと、また、優勝チームに優勝賞品をお願いすること。


E社長: 素晴らしいプレゼンではないか。私自身がワクワクしてきた。K役員、L役員の意見はどうだ。
L役員: 私も、みんながこれだけの企画を考えてきてくれるとは思っていなかった。大変失礼な認識だった。社員の能力を見直した。
K役員: 私も、素晴らしい企画だと思う。一つ気になることは、従業員が全員参加してくれるだろうか。
E社長: K役員、それを言ってはいけない。我々の熱意で、参加してもらおうではないか。
Oさん(商品開発): 予算の件は、いかがですか。可能な限り予算内で、収めようと考えているのですが、試食会の原価分がオーバーする見込みです。
E社長: 原価分の予算オーバーは、勉強会のコストとして、当然、認めるべきものだ。また、優勝賞品も了解した。さらに、良いパフォーマンスを発揮した従業員にも、賞品を提供しよう。
コンサルA: それは、良い考えです。金額の多寡ではなく、場を盛り上げる楽しい賞を、いろいろと考えましょう。
K役員L役員: 我々も協力します。
コンサルA: 我々の経験から言うと、初めての試みなので、ゲームの数は、2つぐらいが良いですよ。実際の場面では、思わぬ時間がかかります。時間が余るようであれば、同じゲームを2回やっても良いです。
K役員: けん玉は、オレ得意、従業員には負けられん。
L役員: 旗揚げゲームは、メチャクチャ脳トレですね。ついていけるだろうか・・・

企画段階から、非常に盛り上がっていきました(中略)。

その後、会場の手配ができた段階で、E社長から、「意識調査の結果を踏まえて、新しいC社に生まれ変わるために、新生C社をスタートさせるキックオフイベントを実施する」という文言とともに、キックオフイベントの日程と内容を発表して、従業員に日程の確保を訴えました。

さらに、新年の祝辞では、コーポレート・スローガンとコーポレート・スローガンに寄せる想い、さらに経営者としての行動宣言を発表したのです。そのうえで、従業員に対する期待を訴えるとともに、キックオフイベントへの参加を促したのでした。当初、なぜ、キックオフイベントをおこなうのか、疑問に感じていた従業員も、新年の祝辞で納得したようでした。

E社長および二人の役員、さらには「キックオフイベント」PTのメンバーの取り組みに共感した従業員からの呼びかけもあり、キックオフイベントは、100%(特別な理由のある従業員を除く)の参加を実現したのでした。

「フルタノ」PTの反省会です。
E社長: キックオフイベントは、私の予想をはるかに上回る盛り上がりで、本当に良かった。一人ひとりの従業員の楽しそうな笑顔を久々に見た気がする。「キックオフイベント」PTのメンバーには、本当に感謝する。
K役員: 全員参加が不安だと言っていた自分が恥ずかしい。「キックオフイベント」PTのメンバー取り組みには、頭がさがる。それにしても、若いもんにけん玉で負けたのは悔しい。リベンジの機会を作ってくれ!
L役員: K役員の関心事は、そこですか(笑)。試食会には、90年の歴史を感じましたね。私も知らない菓子があり、昔の味に触れたことは、新しい感動がありました。よく、あれだけのレシピが残っていましたね。
Oさん(商品開発): 商品開発のメンバーが、古いレシピを探すとともに、OBの方やOGの方の話を聞きにいってくれました。
E社長: 私も、そのようなレシピがあったことは、先代や先々代から聞いたことはありましたが、本当に残っているとは、知りませんでした。
Pさん(製造): 製作の段階では、レシピには火加減や混ぜ具合等が詳しく載っていませんから、OBの方やOGの方に味を見てもらいながら、試行錯誤でした。
L役員: 今回、あらたに整理したレシピは、C社の宝物ですね。まさに、“古くて楽しい”の原点ができたということでしょう。
(中略)
 
コンサルA: キックオフイベントも無事終了したので、次に取り組むべきことは、キックオフイベントでE社長が発表された、来期の方針を具現化することです。
E社長: はい、方針発表では、「すべては、“古くて楽しい菓子創り”のために」を推進していくために、@コーポレート・スローガンを浸透させる勉強会の実施 Aコーポレート・スローガンを具現化した行動や取組みの評価 B全員が参加する商品開発コンテスト Cイベントのスケジュール化 を発表しました。これらの方針を実行に移していかなければなりません。
コンサルB: そのためには、どのテーマから、どのようにして実行に移していくのか 優先順位をつけていく必要があります。
コンサルA: 優先順位を判断するためにも、ここで、「社員から選ばれる会社を創る」考え方を整理しておきましょう。

C社では、「社員から選ばれる会社を創る“会社の軸”」として、コーポレート・スローガン「すべては、“古くて楽しい菓子創り”のために」を決めました。コーポレート・スローガンを軸に、「社員から選ばれる会社を創る」考え方について、次回にお話しします。



コンサルティング物語

その7

〜 会社の文化として、ワクワクする組織を定着させる 〜

コンサルタントは、コーポレート・スローガンを軸に、「社員から選ばれる会社を創る」考え方を整理するまえに、“フルタノPT”の認識に基づいて、今までの取り組みの流れを振り返りました。
@E社長が、100年企業創り合同会社のセミナーに参加したことをきっかけに、現会長のリーダーシップから脱皮して、「活き活きとした社員と会社を変革していきたい」と考えたこと
AE社長およびK役員・L役員と、変革への覚悟と方向性を一致させるために、「経営者の軸づくり訓練」という内観の訓練に参加したこと
Bその上で、“社員から選ばれる会社創りプロジェクト”を立ち上げたこと
C社員の“会社や仕事”に対する意識を把握するために、“社員の意識”を調査することになったこと
D経営幹部の意識と社員の意識とのギャップに愕然としたこと
Eギャップを埋める重要性に気づいた社長以下プロジェクトのメンバーは、“コーポレート・スローガン”を決めて、社長の変革への方向性と覚悟を明確にしたこと
F社長の変革への方向性と覚悟の浸透を図り、社員の意識のベクトルを合わせる取り組みとして、キックオフイベントを企画・実行したこと。キックオフイベントは、大いに盛り上がったこと


コンサルA: もう、お気づきですね。“社員から選ばれる会社を創る”ことは、会社の制度や仕組みを作ることではありません。「活き活きとした社員と会社を変革していきたい」と考える経営者の考え方や姿勢があり、経営者の考え方や姿勢に賛同するコアの社員と一緒に、変革の方向性(コーポレート・スローガン=[古くて楽しい]菓子創り)を決めて、ワクワクするキックオフイベントができあがっていったのです。
E社長: “経営者の判断軸”が大事ということですか。
コンサルA: その通りです。そして、“社員から選ばれる”とは、どのような社員から選ばれる企業を創るのか、決めることも大事なことなのです。
E社長: それは「すべては“[古くて楽しい]菓子創り”のために」を実践してくれる社員です。
コンサルB: 今回のキックオフイベントにも、不参加の方や消極的な参加の方がいらっしゃいました。あるいは、「どうせ、一度きりだろう。続かない。」と考えている社員もいるかもしれません。これからの課題の一つは、会社が目指している方向性に賛同しない社員への対応です。
K役員: 「何で、参加しないのか」「参加しろ」と強制するわけにはいかない。
E社長: 強制したら、ワンマンだった会長と同じ姿勢となってしまう。
コンサルB: 強制されて参加した社員が、活き活きとした社員になりますか。
Oさん(商品開発): やはり、地道に声掛けを続けるしかないのでしょうか。
コンサルA: これから、方針発表に基づいて、いろいろなイベントが企画されることになります。一方、イベントの企画と同時に重要なことは、方針@の「コーポレート・スローガンを浸透させる勉強会の実施」です(その6を参照)。これは、E社長、K役員、L役員が取り組まなければなりません。会長が培ってきた企業文化は、一朝一夕で変わるものではありませんから、繰り返し、繰り返し、経営者の価値観・スローガンを伝え、自分の問題として考えてもらう、このような取り組みが重要なのです。
N氏(営業): 我々だけで、企画・運営をやっていると、すぐにネタが尽きてしまいそうです。あと、一つか二つのイベントは、このPTが主体となってやらないといけないと覚悟していますが(笑)、それでは、「活き活きと働く社員と我が社を変革する」が、全社的な取り組みに広がらないのではないでしょうか。
L役員: Nさん、いいこと言いますね。私も、イベントを企画・運営する仕組みを作っていかないといけない、と考えているのですが、さらに、イベントを主催するリーダーの育成も必要なのではないでしょうか。
コンサルA: Nさんの意見も、L役員の意見も、本当に重要なポイントをついています。イベントの企画・運営の仕組み、そして、リーダーの育成は、「活き活きとした社員が、組織を活性化させる」ための重要な要素です。もう一点、重要な要素があるのですが、何だと思いますか。
Q氏(物流): 全員参加ですか?
Pさん(製造): 組織内のコミュニケーションですか?
M氏(管理): 予算ですか?
Oさん(商品開発): やっぱり、評価ではないですか?
コンサルA: さすが、Oさん。我々は、全員参加もコミュニケーションも予算も大事ですが、「活き活きとした社員が、組織を活性化させる」重要な要素は、評価・表彰だと考えているのです。評価・表彰にも2つの視点があって、イベントそのものの評価・表彰、そして、取り組んでいる社員に対する評価・表彰があるのです。
我々は、@価値観の教育(勉強会)、Aイベントの企画・運営の仕組み、Bリーダーの育成、C評価・表彰 この4つの要素が、統合することによって、「活き活きとした社員が、組織を活性化させる」企業文化が醸成されると考えているのです。

このようにして、フルタノPTのメンバーは、次のイベント企画として、「全員が参加する商品開発コンテスト」の企画に取り組むとともに、サブ・プロジェクトとして、@価値観の教育(勉強会)、Aイベントの企画・運営の仕組み、Bリーダーの育成、C評価・表彰 に取り組むことにしたのです。

C社の場合、「活き活きと働く社員と我が社を変革する」という、E社長の考え方・姿勢、そして、コーポレート・スローガン「すべては“[古くて楽しい]菓子創り”のために」を実践していく過程において、上記の@ABCの取り組みをおこない、また、社員間で、お互いに参加への声掛けをおこなったにもかかわらず、複数人の社員が会社を離れることになりました。

E社長は、縁があって、入社してもらった社員が離れていくことに、「もっと、打つ手はなかったのか」と、当初は、相当悩まれていました。しかし、経営者の判断軸については、ブレることはありませんでした。一方、新しく入社してくる社員は、E社長の価値観を理解して、入社してくる社員なので、変革のスピードがますます速くなりました。その結果、数年後には、自分が引き継いだ時の年商を超えるまでになったのです。

その後のC社の状況については、次回ご報告します。



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対策関連の情報

[新型コロナウイルス感染症関連(経済産業省)]
https://www.meti.go.jp/covid-19/index.html

[支援策パンフレット(経済産業省)]
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf

[新型コロナウイルス感染症について(厚生労働省)]
https://www.mhlw.go.jp/stf/
seisakunitsuite/bunya/
0000164708_00001.html

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